奈良総合法律事務所

お知らせ

「水平社」創立100周年

2022.04.28お知らせ

「水平社」創立100周年
水平社宣言を読み、水平社博物館へ行こう

 1922年3月3日、京都の岡崎公会堂で全国水平社の創立大会が開かれ、今年で100年になります。
そこでは、日本初の人権宣言であり、また被差別マイノリティが発信した世界初の人権宣言である「水平社宣言」が採択されました。

もう一度、水平社宣言を読み直し、この宣言の起革者の一人である西光万吉(さいこうまんきち)らの出身地である奈良県御所市にある水平社博物館(今年3月リニューアルオープン)を皆様、是非訪れて下さい。

水平社宣言

宣言

全国に散在する吾が特殊部落民よ団結せよ。

 長い間虐められて来た兄弟よ、過去半世紀間に種々なる方法と、多くの人々とによつてなされた吾等の為めの運動が、何等の有難い効果を齎らさなかつた事実は、夫等のすべてが吾々によつて、又他の人々によつて毎に人間を冒涜されてみた罰であつたのだ。そしてこれ等の人間を勤るかの如き運動は、かへつて多くの兄弟を堕落させた事を想へば、此際吾等の中より人間を尊敬する事によつて自ら解放せんとする者の集団運動を起せるは、寧ろ必然である。

 兄弟よ、吾々の祖先は自由、平等の渇仰者であり、実行者であつた。陋劣なる階級政策の犠牲者であり男らしき産業的殉教者であつたのだ。ケモノの皮剥ぐ報酬として、生々しき人間の皮を剥取られ、ケモノの心臓を裂く代価として、暖い人間の心臓を引裂かれ、そこへ下らない嘲笑の唾まで吐きかけられた呪はれの夜の悪夢のうちにも、なほ誇り得る人間の血は、涸れずにあった。そうだ、そして吾々は、この血を享けて人間が神にかわらうとする時代にあうたのだ。犠牲者がその烙印を投げ返す時が来たのだ。殉教者が、その荊冠を祝福される時が来たのだ。

 吾々がエタである事を誇り得る時が来たのだ。

 吾々は、かならず卑屈なる言葉と怯標なる行為によつて、祖先を辱しめ、人間を冒涜してはならぬ。そうして人の世の冷たさが、何んなに冷たいか、人間を物はる事が何んであるかをよく知つてゐる吾々は、心から人生の熱と光を願求禮讚するものである。

 水平社は、かくして生れた。
 人の世に熱あれ、人間に光あれ。

大正十一年三月
水平社

水平社博物館館長 駒井忠之氏

 水平社博物館は、人間の尊厳と平等を求めた水平社の理念と、差別を許さない不屈の精神を継承し、その想いを未来につないでいきます。

来館された皆様がこの想いに共感し、賛同してくださると私たちは確信しています。水平社の理念を共有し、寛容と包摂の社会、人間の尊厳の実現に向けてともに歩んでいきましょう。

みなさまのご来館を心よりお待ちしています。

水平社博物館

住  所:奈良県御所市柏原235-2
電話番号:0745-62-5588
HP案内:http://www1.mahoroba.ne.jp/~suihei/

内橋弁護士が100周年記念誌に寄せた連帯のあいさつ

「今までとこれからーよき日の為に」

 今から41年前、地縁も血縁もないこの地で法律事務所を開いてから、先達であった田川和幸先生や故高野嘉雄先生らに導かれ、私は解放運動や夜間中学等の為に日々奮闘しておられた多くの方々と共に活動して来ました。

 差別糾弾闘争や行政闘争への関与、戦前の奈良弁護士会の会員による差別発言に関する弁護士会保管資料の水平社博物館への提供、同博物館前での差別街宣に対する損害賠償請求裁判での代理人活動、そして多くの個人事件に関与して来ました。

 その中で、皆様方から多くのことを学ばせていただき、その結果として今の私と事務所があることを誇りに思います。今後も、私とこの事務所は、「よき日の為に」、解放運動や差別を受ける人々と共に、奮闘してまいります。「人の世に熱あれ、人間に光あれ」

奈良総合法律事務所 
代表弁護士 内橋裕和