奈良総合法律事務所

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祖母による子の監護者指定申立てに関する最高裁決定

2021.04.20役立つ法律知識

弁護士の荒木です。今日は気になった最高裁判例について取り上げます。

夫婦が離婚する際には子の親権者を決めますが,様々な事情により,親権者は子の面倒を見ず,親権者の親(子から見て祖父母)が面倒を見るようになることがあります。
祖父母が面倒を見ている状態が続くと,祖父母がそのまま子の面倒を見続けたいと思ったり,子もそのまま祖父母のもとで暮らすことを希望するケースもあります。このような場合,祖父母が裁判所に対して,子の監護者を自分たちに指定してもらうよう申し立てることが考えられます。

ところが最近,祖母からの子の監護者指定申立ては認められないとの判断が最高裁で示されました(令和2年(許)第14号。令和3年3月29日決定)。
この最高裁決定の事案の概要は以下のとおりです。

(1) 平成22年2月に父母が離婚し,母が親権者と定められた。
母と子は平成21年12月から,母の母(子の祖父母)宅で同居していた。
(2) 母は,平成29年8月頃,子を祖母宅に残したまま祖母宅を出て行った。
以後,子は祖母が1人で子を監護していた。
(3) 平成30年3月,母は再婚した。その際再婚相手は子と養子縁組した。
(4) 祖母は,母と再婚相手を相手方として,子を監護すべき者を定める審判を申し立てた。

 

高裁は祖母の主張を認め,子の監護者を祖母と指定する決定をしました。しかし最高裁は,高裁の決定を破棄し,祖母の申立てを却下しました。
その理由は「事実上子を監護してきた第三者が,家庭裁判所に子の監護者を定めるよう申し立てることができる旨を定めた規定はない」というもので,要するに法律の定めがないからというものです。

この最高裁の事案の詳細は不明ですが,あらゆるケースで,祖父母による子の監護者指定の申立てが「法律がないから」という理由で否定されるのは相当でなく,立法による解決が望まれるところです。
また,現行法下でも,事案によっては,親権の喪失,停止,子と祖父母との養子縁組等の対応策を採れる場合もありますので,弁護士にご相談ください。